わんちゃんの食事は、自由給食にすべきか、それとも制限給食にすべきか?

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先ずは、自然界におけるそもそも論から入りたいと思います。

 

子犬は2カ月齢ごろになると、運動能力も、好奇心もより増してくるのですが、この時期から母犬は生きた獲物を子犬達に与え、狩猟というのを教えていきます。子犬達は自分達の力だけで獲物を捕まえ、殺す経験を積むようになり、かつ最初に餌を食べる事が許されます。成犬は子犬達が満腹になってから、残りの餌を食べます。

 

犬は社会的な動物で単独で狩猟をする事では存続する事ができないため、群れで獲物を捕らえ、食べるのも平和で平等に行うというのが原則ですが、上記のように子犬にだけで例外として先に食べさせるのが許されているのは、このような経験を通じて、協調性を育てながら、食事時にも争う必要がない事を気づかせているのです。

 

しかし、人間と一緒に暮らすようになった犬は全く異なる環境と生活習慣の中で暮らしているため、少し違う考えが広がっています。人間の食事時間に合わせて、数回に分けて、かつ多頭飼いの場合は個別のお皿で、定量を食べるというのが一般的かと思います。

 

これは本当に犬にとって最善の食事法なのでしょうか?

 

先ず、多頭飼いの場合の個別食事についてですが、人間社会で生きている犬達は、自然で群れで暮らす犬達とは環境などの条件がすべて異なるので、争い無く食事を共有する事はなかなか難しいでしょう。そのため、個別のお皿で食事をさせている家庭が多いかと思います。しかし、個別のお皿で食事をさせているとしても、食事をする空間が完全分離されておらず、例えばキッチン、リビング、部屋といった同じ空間の中で食事をしていれば、お皿を共有しているのとあまり変わらないのです。時々、唸りながら食べたり、他のわんちゃんの様子を見に行ったりするのがその証拠です。自分の食事が取られるかもしれないという不安で楽しい食事ができていないでしょう。従って、この場合は、食事の空間分離をする事が推奨されます。こうする事で、定量(※ 個々の犬が満足する量)を超えて無理して食べようとする事も少なくなるでしょう。

 

次に自由給食にすべきか、制限給食にすべきかという点ですが、体重コントロールを犬自信に任せたり、所有欲を抑えたり、そして食生活の品質向上のためには好きな時に好きなように食べる事ができる自由給食が正しい選択かと思います。

しかし、人間社会で生きている犬達に対して自由給食を行う場合、致命的な問題点があります。人間社会で生きている犬は、人間社会で生きていくために基本的なマナーを教わる必要があるのですが、勝手には学んでくれず、何らかの方法を使ってマナーを理解してもらう必要があります。この際に犬達にマナーを付けてもらう報酬としておやつを使ったりするわけですが、自由給食にしてしまうと、おやつが報酬として作用しなくなる可能性があり、マナー教育も思うように進まなくなります。もちろん、おやつの他に、報酬として、飼い主様の関心や、おもちゃ、お散歩などを代用する事もできますが、マナー教育にはそれなりに時間と回数をこなす必要がある事を考えると、かなり厳しくなるのは間違いないでしょう。

結論はすでに出ていると思いますが、少し面倒でもあり、理想の体重をキープさせる事もなかなか難しい事かもしれませんが、わんちゃんへのトレーニングが生涯に必要という事を考えると、ドッグトレーナーとしては制限給食を行う事に手を挙げてあげたいのです。

 

制限給食を行う事にどのような意味があるのか、ご理解いただけたかと思いますので、皆様もわんちゃんへのトレーニングにおやつに限らず普段の食事も報酬としてうまくご活用していただければと思います。

 

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