わんちゃんに避妊・去勢は本当に必要か?

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こんにちは。いぬのともだち店長の寺田です。
今日は、多くの方が判断に迷うわんちゃんの避妊・去勢(以下、避妊)について書いてみたいと思います。また、あくまでも客観的なデータに基づいたドッグトレーナーとしての意見になります事を予めご了承ください。

 
避妊とは、雄の場合は睾丸を、雌の場合は卵巣と子宮を切除し、取り除く事を言います。雄の睾丸を切除する手術は睾丸周囲の皮に小さな穴を開け、そこから睾丸を抜き取る比較的簡単な手術になりますが、雌の卵巣と子宮の切除手術は開腹を伴うため、もう少し複雑で手間のかかる手術になるのですが、これが雄と雌とで手術費用が異なる理由ですね。

 
避妊をした方が良いと言われている主な理由は、高確率(凡そ30%)で発生する乳腺腫瘍が避妊をする事によって、かなり低い確率に下げられるためです。この乳腺腫瘍は雄・雌に関わらず発生しますが、雌犬の方が当然ながら発生率は高いです。

 

わんちゃんに避妊は本当に必要か?

 

先ず、避妊する事によるメリット、デメリットを見てみましょう。

メリット  ※ 雄か雌かで若干異なります。

 ・乳腺腫瘍(雌)、子宮蓄膿症(雌)、前立腺肥大(雄)、肛門周囲腺腫(雄)、糖尿病の予防

・性ホルモンによる問題行動の予防(攻撃性、マウンティング、マーキング)

・発情によるストレス軽減

・意図しない妊娠の回避

デメリット

 ・基礎代謝の低下による体重増加

・尿路結石発生率の増加(雄)

・妊娠ができなくなる

 

簡単にまとめるとこんな感じですが、いくつかポイントがあるので、それについてもう少し詳しく話してみます。

 

まず、雄の場合で、睾丸が体内に潜伏していて体外に降りてこず、そのままにされてしまうと、睾丸が腫瘍化していく可能性があるため、この場合の避妊手術は必須と言われています。

他の場合は、メリットとデメリットの重要度とリスクの比較になりますが、様々な研究結果からメリットの方が大きいと言われています。避妊する事によって、平均1.7年、寿命が延びる事もメリットの1つです。

 

これは、ドッグトレーナーとしての観点も同様で、避妊する事によって予防できる問題行動が多くあり、得られるメリットの方の比重が大きいと考えられます。特に発情期のストレスはなかなか解消させてあげる事ができず、わんちゃんも飼い主様も互いがストレスを抱えてしまいがちな問題でしょう。

 

その反面、避妊を行う事によるデメリットとして、尿路結石など、本来ならばかかる事のないはずの病気にかかってしまうケースもあります。場合によっては、攻撃性がより増してしまう事もあります。しかし、これらの問題は正しい理解の元、正しい対処をすれば大概は解決できる問題であるため、避妊によるメリットを諦めがたいと言われている理由です。尿路結石は性ホルモンのバランスが崩れる事によって、尿路が不十分な成長をし、結石ができやすくなる事に起因します。

また、攻撃性についても同様で元々興奮しやすい性格のわんちゃん(特に雌)で避妊の時期が早すぎた場合に起こりやすいと言われています。言い換えれば、避妊を行うタイミングを調整する事で予防できるという事になります。他にも避妊後に骨肉腫(悪性腫瘍)や、甲状腺機能低下症などの発症率が増加したという報告もありますが、長寿命化による問題であったり、避妊との因果関係が証明されていない問題であったりします。

 

 

それでは、避妊をするに最適な時期はいつなのか

という疑問が沸くのですが、これはとても難しい問題で、ある程度妥協が必要な部分でもあります。例えば乳腺腫瘍ですが、最初の発情の前に避妊をした場合には発生率が0.05%まで下がり、2回目の発情期前に避妊をした場合は8%、3回目は26%まで下がるという研究結果が出ているのですが、最初の発情期が平均的に6ヶ月未満で起こる事を考えると、体の成長期の途中で手術を行う事になるため、性ホルモンのバランス崩れによる問題(尿路結石や、攻撃性など)が起こりやすくなり、どっちを取るべきか非常に悩ましい問題になるのです。

 

ドッグトレーナーとしては、手術の時期を少し遅らせてでも成長が終わった後に行う事をお勧めしたいわけですが、統計的にも避妊が遅れた事による死亡率より、わんちゃんの問題行動が原因で飼育放棄されるわんちゃんの数の方が多いとも言われているからです。正解を導き出す事は難しい問題ですが、何がわんちゃんにとって、そして飼い主様にとってより幸せな触れ合い方で、生き方なのかを考えた上でご判断いただきたいといぬのともだちは思っています。

 

他にも気になるわんちゃんの事がありましたら、気軽にいぬのともだちまでお問合せくださいませ。